刑事訴訟の流れ
ここでは刑事訴訟を起こす際の流れについて、わかりやすく簡潔にご説明します。
A. 罪状認否
刑事裁判において、通常法廷内で最初に行われる手続きは罪状認否です。被告が書面による罪状を受領し、弁護士による代理が認められ、訴えられている罪状に対して応答すると、裁判の日程が計画され、保釈が審理されます。
B. 証拠開示手続き
証拠開示手続きにより、被告は逮捕時のポリスレポートなどといった、検察が持つ証拠を入手できます。最近は検察側も同様に、被告に対して証拠を請求できるような流れになってきています。従ってドラマや映画に出てくるように、裁判の審理において相手方の知らない証拠や証人が突然現れて驚く、という光景は現実ではあまり見られません。
証拠の提出により、検察側によって裁判がどの程度の確証で立証されるのかの目度が立ちますが、検察側の裁判戦略等は開示されません。
C. 予審
裁判官は、検察による訴追の判断が適切であるかどうかを判断します。これは無罪有罪の判決ではなく、あくまでも裁判の審理を受けるに値するかの判断です。
なおこの裁判手続きは必ずしも行われるものではなく、適用される法律や条件により異なります。
D. 裁判
アメリカには50州、連邦、ワシントン特別区それぞれの裁判所がありますが、基本的な手続きや審理の多くは共通しています。以下で標準的なステップをご説明します。
- 1.裁判官、または陪審による判決の選択
- 裁判官による判決か陪審による判決かを選択します。
必ずしも陪審員による判断が被告に有利になるとは限りませんし、陪審員による判断が認められない場合(罰金等の軽微な犯罪)もあります。全員一致の評決が求められるかどうか、裁判官による判決の方が軽くなるかどうかなどについて検討します。
- 2.冒頭陳述
- 証人調べの前に、裁判官又は陪審に対して、検察及び被告による事件の説明がなされます。
- 3.検察立証
- 検察が証人を通して、犯罪の立証を行います。
- 4.被告反対尋問
- 被告が検察側の証人調べを行います。
- 5.再尋問
- 検察が再度証人調べを行います。
- 6.棄却申立
- 被告は訴えの棄却請求をできますが、ほとんどの場合拒絶されます。
- 7.被告立証
- 被告側が証人を通して、弁護を行います。
- 8.検察反対尋問
- 検察が被告側の証人調べを行います。
- 9.被告再尋問
- 被告側が再度証人調べを行います。
- 10.検察反証
- 検察が、被告の弁護を崩す証拠を提出します。
- 11.陪審への説明協議
- 検察及び被告が、裁判官と陪審への説明内容を協議します。
- 12.検察最終弁論
- 検察が提出した証拠をまとめ、有罪にすべき理由を説明します。
- 13.被告最終弁論
- 被告が提出した証拠をまとめ、有罪にすべきでない理由、又はより程度の低い犯罪に該当させるべき理由を説明します。
- 14.陪審への説明
- 裁判官が陪審員に対して、適用される法律及びどのように評議すべきかを説明します。
- 15.陪審評議
- 原則として、陪審員は全員一致で評決を決定します。
- 16.審理後申立
- 有罪の場合、評決を覆すよう裁判官に申立てができますが、ほとんどの場合拒絶されます。
- 17.量刑
- 有罪の場合、裁判官はその場で、あるいは後日量刑を決定します。