春は多くの愛犬家にとって子犬の季節です。しかし飼い主にとっての犬は愛する家族でも、法律上では潜在的に危険な所有物と見なされてしまいます。
大きな話題となったアメリカンピットブルテリアの噛み殺し事件以降、ペットから人間への突然の攻撃に関して、飼い主の責任を容易に問える法律がなかった多くの地域や州において立法が検討されています。犬の噛みつきに関する法律は州ごとに大変異なりますが、多くの州において、場合によっては借家人の犬による傷害に関しても、家主の責任が問われます。
しかし、犬が何かに嚙みつくのは普通のことで、1回くらいは許されるのではないのでしょうか?実は、そうではありません。それは、飼い主が自分のペットの噛みつく習性を知らなければ、その犬の最初の噛みつきに関しては何ら責任がないという、古い英国法の間違った解釈です。最初の噛みつきにより飼い主は危険性を認識したとみなされ、その後の噛みつきに関して責任を問われるというものです。
かかる法律(まだ有効な法律として残っている州もいくつかあります。)の下であっても、犬が実際に誰かに噛みつかずとも、飼い主が犬の噛みつきグセを認識はできます。たとえば、犬に通りすがりの人に吠えたり、突っかかるような習性があれば、その犬が危険な性質を持っていると飼主が認識するには充分かもしれません。
ある犬種の犬すべてに危険な性質があると見なすかどうかに関しては様々な議論がありますが、ピットブルの飼い主の主張を、高性能スポーツカーのドライバーに自動車保険を認めるのと同様に、懐疑的に見る陪審もいます。
いずれにせよ、州法が犬の最初の噛みつきに関しても飼い主の責任を問うようになっていたら、番犬の意味はあるのでしょうか?その答えは、重大な損害が差し迫まる危機にさらされていると合理的に考えざるを得ない状況で、あなたに侵入者を撃つ権利があれば、あなたの犬による攻撃も認められる可能性があります。一方、あなたの敷地内に子供が迷い込んだ場合に、撃ったり犬に襲わせたりする行為は許されません。
こういった両極端の間の状況については、ペットがけしかけられたとか、被害者は違法侵入者であったとか、警告を敷地に掲示していたとかいう弁護を、裁判において犬の飼い主に認めている州もあります。
もちろん、犬をけしかけた飼い主は、誰かを計画的に撃ったのと同じように傷害、また場合によっては殺人容疑にかけられる恐れがあります。要するに飼主は、犬の気質に気を配って、他の人を危害から守るために適切な予防措置をとらなければなりません。多くの州では、単に「今まで誰のことも噛んだことはなかった。」と言うのは、「銃が装填されているとは知らなかった。」というのと同じで、過失による訴えに対する充分な弁護とは認められないのです。
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