契約書ABC

契約・売買

車の購入、家の改築、又は小規模なビジネスに使う物品のリース等のために、契約が必要になるのは誰でもわかります。契約はこういった取引に欠かせないのは言うまでもありませんが、他にも2つ理由をあげましょう。第1に、相手方との合意内容の詳細を規定できます。契約書は、自分自身、相手方、弁護士、裁判所などの第三者を含め誰にでも、何が合意内容か教えてくれます。第2に、何かことが起こったとき、又は、状況が変化したときにどうなるかを規定するために契約書が必要です。究極的には、(これが弁護士の契約書のアプローチの仕方かもしれません。)もし、裁判所にお世話になってしまったら、契約書は裁判所にあなたと相手がどのような契約を交わしたのか知らしめてくれますし、裁判所は契約内容を尊重してくれるでしょう。

契約内容

契約は、とても長くて緻密な文書です。なぜかといえば、取引に関して必要な情報すべてを取り込もうとするからです。
さて、家の改築契約を考えてみましょう。契約は、何をすべきか当然規定するはずです。(例えば、廊下の押入れの横の小さい風呂場を、新しい配管にして大きな風呂場に作り変える等。)支払額、完成日等も入れなければなりません。さらに、いい契約にするには、保証(保証をつけさせると仕事もきちんと仕上がります。)も必要です。さらに、変更したときの取り決めもあるといいでしょう。(もし、改築の途中で変更を指示したらどうなるか決めておくのです。)保険のこともあります。工事業者が従業員の万一の事故のために労働者災害補償保険に入っているか確認します。誰が、許認可や検査の手配をするか、責任の所在もはっきりしておく必要があります。もし、争いになった場合には、どちらが弁護士費用と訴訟費用を負担するか言及しなければなりません。こういった条項(他にもまだありますが)を入れていくと、簡単な家の改築の契約が、10ページ以上になりそうです。
忘れないでほしいのは、何を合意したのか、もし何か問題が起こったら自分をどう守るのか正確に規定するのが、契約の目的ということです。契約の中に曖昧さが残れば残るほど、あなたと相手の間の共通の理解がそれだけ少なくなっていきますし、合意内容が無に帰す可能性が高まります。最高の契約は、簡潔で、正確で、あらゆる不測の事態に対応しています。

契約交渉

標準契約というものは存在しません。どんな契約も、交渉の余地がありますし、変更し、内容を明確にし、書き直しできるのです。万一、契約交渉を無下に断る人がいたら、その取引中止を真剣に検討したほうが良いでしょう。
もし、相手が契約をドラフトしたり、決まった取引のために予め印刷してある雛形の契約書式を使ったりしているときは、その机上に投げ出された契約は、あなたにとって最善の内容を念頭においていないことを心に留めておいてください。不正直とか怪しいとかではありませんが、契約というのは、防御しうまく利用するのがすべてなのですから、契約を作成した人が法律上最大限の保護を受けられるように、書き込まれているはずです。弁護士と一緒に契約内容を全部チェックして、賛成できる内容と交渉したい内容を区別して下さい。
交渉に基づいて契約内容を変えたとき、同意できない文言を単純に削除し、変えたい部分に説明を入れていきます。もし、追加したい条件があれば別紙を作れます。但し、変えたところは全部、両者のイニシャルが必要です。
交渉に基づいて契約内容を変えたとき、同意できない文言を単純に削除し、変えたい部分に説明を入れていきます。もし、追加したい条件があれば別紙を作れます。但し、変えたところは全部、両者のイニシャルが必要です。

口頭契約

口頭契約とは、書面にされてない契約です。例えば、誰かがあなたに中古の車を売ったとしましょう。あなたは、値段に折合いをつけ握手します。これで、口頭契約の成立です。
口頭契約は、良いものではありません。やってはいけません。必ず書面にしてください。そして、書面での契約を交わしたら、口頭で追加の条件を決めないで下さい。
その訳は、第1に、それが法律の決まりです。今でも州によっては詐欺防止法を、杓子定規に適用していますし、伝統的なコモンローの規則によれば、土地に関する合意はどのようなものも書面にしなければなりません。もし、書面でなければ、どちらが正しいのかの判断さえしません。要は、単に有効な契約でないのです。
2番目の法律上の規則として口頭証拠原則があり、正式文書でない証拠は認められません。すなわち、当事者によって署名された書面での契約書だけが、契約のすべてなのです。もし、書面での契約を口頭で変更した後に、問題が生じたのであれば、この規則を利用できます。あなたと相手方との口頭での合意は、契約の一部とはみなされません。もし、契約上規定されてない事項に合意したのであれば、必ず契約書に書き加えてください。
3番目は、証拠としての問題です。もし、書面上の契約であれば、契約条項の証拠は紙面上にあります。口頭契約の場合には、合意内容に関するあなたの記憶と相手方の記憶の対立となります。たとえどちらも正直な人だったとしても、合意内容に対する考えが異なることはありえます。

最後に、実用的な理由があります。前にわかりやすい例として使った単純な家の改装契約で、どれくらいのポイントを検討したか思い出してください。口頭契約を交わしたとして、これらの一つ一つのポイントについて、まちがいのない詳細な条件をどれ位覚えてられるか疑問といわざるを得ません。

サイン

交渉が終わって、契約書を書き上げ、交渉相手が、点線上にサインするように言ったらどうしましょうか?まず、契約書を読みます。口頭で合意した内容がすべて網羅されているか確認します。不明な点があれば質問します。そして、大金がかかっているのであれば、顧問弁護士に契約をチェックしてもらうようにお勧めします。

※この記事は法律上の助言を構成するものではなく、一般的な法的原則の一般的な概要のみを示しています。 これらの原則は、管轄地によって異なる場合があります。 ご自身の特定の状況については、弁護士に相談する必要があります。 この記事の公開によって弁護士と依頼人の関係が形成されません。

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