自宅の改築:請負業者と契約書

契約・売買

改築が家に付加価値をもたらし、予算も確保し、借入の工面もつきました。いよいよ一番大切な「誰に依頼するか?」を決めなければなりません。
本稿(「自宅の改築」シリーズの第2回)では、どうやって業者を選び、契約書に合意するかを説明します。決定する前に、どんな情報が必要でしょうか?そして、業者を決めたならば、あなたの権利を守るために有意義な契約を交わす基本は何でしょうか?

業者の選定

改築してくれる業者のリストアップには、多くの方法があります。近所で出来のよい仕事をした業者に連絡したり、又は地元の新聞広告で見つけたりできます。しかし、一つの業者に絞る前に、仕事に最適な人を探すために、以下のステップを踏むべきです。

見積り3通

改築のためには、時間を割いてでも見積りを3通取って下さい。いざ、仕事が始まってから、費用が高すぎると感じても、後の祭りです。見積りを依頼する前に、やってほしい仕事の詳細なプランを立てます。見積りを依頼する業者に、それぞれ同じ情報を与えて、見積りを適切に比較します。
万一、価格が大きく異なるようであれば、まず違いが主体工事にあるのか、仕上げにあるのか確認して下さい。主体工事とは、床、壁、天井及びその奥に収まる全ての仕事です。この部分にかかる費用は、業者によってそれほど変わらないはずです。仕上げには、回り縁、装飾、タイル、及び家具を含みます。これらにかかる材料費や人件費は大きく差がつきます。もし、仕上げ費用の差が、合計の差になっていなければ、なぜ見積もりに違いが出ているのか、調べなければなりません。全ての業者が、予定している仕事の内容を同じように理解しているかチェックします。

最大限の事前調査

評判の良い業者というのは、以前の依頼主を何人か紹介できるはずです。時間がかかっても電話し、その業者が担当した箇所を見せてもらえるか頼みます。その業者と仕事をするのは、どんな感じか教えてもらいます。
また、地元で改築工事に関わる人たち(例えば、電気、水道、内装工事業者)や地元の不動産屋にも相談します。その人たちが、あなたの検討中の業者について、何か知っているか調べます。
最後に、業者の信用度を確認して下さい。州政府の免許を管理する部署に連絡して、その業者が免許を持っていて、担保を積んでいるか確認して下さい。

業者が保険に入っていて、保険があるかも確認して下さい。

その業者が労災補償と総合責任保険を持っているか確かめるために、有効な保険証明書の提示を求めて下さい。労働者災害補償保険は、仕事上の怪我に関して、業者とその従業員をカバーします。総合責任保険は、業者及びその従業員以外の人への過失による怪我又は財産に対する損害が発生した場合に、適用されます。改築のときにあなたの家で負傷した人は誰であっても、業者が適当な保険に入っていなければ、あなたも訴えることでしょう。
業者に仕事上の保証があるかどうか尋ねて、契約書上規定されているか確認して下さい。一部の業者は、追加料金を払えば保証期間を延長してくれます。

業者との契約

改築は、おそらく数万ドル、場合によっては数十万ドルもかかるでしょう。業者との契約条件を規定した契約書面によって、あなたの投資を保護するのは重要です。この段階で、弁護士にあなたの契約の検討及び契約交渉をしてもらうために数百ドルを支出するのは賢明な投資です。
業者との交渉を始めるために、「標準の」契約書を提示しても良いでしょう。これを叩き台として下さい。(全ての契約書は、交渉、変更、書き直しができます。)あなたの弁護士に、あなたの改築に関する特別条項の交渉を手伝ってもらいます。全ての契約は、基本的な条件を規定していなければなりません。

建物工事代金の担保権

あなたの敷地内での作業に関わるサービス、労働又は材料を提供する人は誰でも、あなたの資産に対して建築工事代金の担保権を設定できます。担保権があなたの資産に設定されたならば、あなたは支払いを完了させない限り、資産を担保にした借金、又は資産の売却ができません。担保された代金が未払いのままならば、多くの州では、担保権者は、弁済のためにあなたの資産の売却を強制できます。
こういった状況を避けるために、契約上、あなたが定期的に支払いをする限り、業者及び下請け業者による完成した仕事に対する担保権の放棄を規定すべきです。さらに、契約上、作業終了に際して、あなたが最終的な支払いをする前に、作業に関わった全ての関係者が完全に担保権を放棄するよう規定するべきです。

保証と保険

既に説明したように、契約が、工事と作業に使用された資材への保証を規定しているか確認して下さい。また、契約上で代位権条項を放棄すべきです。そうすれば、業者が誰かを負傷させた責任を問われたとき、業者はあなたが損害賠償金を負担するよう訴えられません。また、契約は、あなたが改築期間に起こった怪我に対して責任を問われたならば、業者はあなたに弁償すると定めなければなりません。

費用と支払い

契約では、工事代金及び内容を明確に規定し、労賃と資材費を項目別(例えば、水道管、大工、及び電気工事)に分けるべきです。時給制又はコストプラス(業者は、資材費に自分で決めた割合の利益を上乗せして請求します。)の契約は結ばないで下さい。時給制及びコストプラスの条件ではどちらも、業者がコストを抑える動機がほとんどありません。
あなたが、仕上げ又は備品の詳細について最終的に決めてなければ、契約でそれらの費用をどう決めるか規定して下さい。それから、業者は工事中に起こる予期していない問題への対処を規定したいでしょう。契約書に、どのような問題が予想されて、どのように解決し、解決のためのコストはどれくらいになるか、しっかりと規定して下さい。
契約上、支払いは全工事期間に渡って行うべきです。支払いは、主要な工事(たとえば解体、フレーミング、備品の搬入、その他)の時点で行います。全ての工事が完成して、全ての関係者から担保権の放棄同意書を受取って初めて、最後の支払いをします。

工事の変更

工事が始まった後、何か変更したくなるのは当たり前です。こういった変更は、間違いなく工事代金の増加につながります。内容変更は必ず書面にして、変更内容及び費用を規定し、工事を始める前に必ずあなた自身が承認します。

開始と完成日

契約は、工事の開始と完成日を規定しなければなりません。規定された日程違反への罰金があれば、業者は妥当な日程を組んであなたに工事がどれくらいかかるのか明確に説明する特別な動機が出来ます。

許認可と検査の責任

業者は、工事のための建築許可(事実上全ての改築工事には必要となります。)を取得する責任があります。適切な許可なしにはどんな改築もありえません。違反した場合は、役所は全ての条例違反物の撤去を指示できます。

弁護士費用と仲裁条項

契約は、全ての訴訟において、勝訴した側が敗訴した側から、弁護士費用と裁判費用を得られるように規定すべきです。また、争いが生じた場合、仲裁(通常、裁判よりも迅速で安く済みます。)を選択する条項を規定し、あなたの仲裁での弁護士による代理権を明確にして下さい。

※この記事は法律上の助言を構成するものではなく、一般的な法的原則の一般的な概要のみを示しています。 これらの原則は、管轄地によって異なる場合があります。 ご自身の特定の状況については、弁護士に相談する必要があります。 この記事の公開によって弁護士と依頼人の関係が形成されません。

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