交渉・調停・仲裁

裁判・仲裁・調停

職場で、家庭で、市場でー争いというのは毎日どこででも起こるものです。一日の内に、約束されていたはずの昇進について上司と言い争い、離婚した妻と子供の養育について争い、過剰請求で電話会社と争い、さらには境の塀をどちらが修理するか隣人と争うかもしれません。状況によっては、これらの紛争の一つ一つが、最終的には裁判へと発展する可能性があります。


しかし訴訟には多くの時間とお金がかかります。その過程で人間関係に亀裂が入る可能性もあります。共に子供を養育していく必要がある離婚した親たち、これからも隣に住み続けるご近所同士、それにこれからも一緒に働く同僚同士、それぞれの関係性に悪影響をもたらすかもしれません。多くの争いは大小問わず、裁判所に頼らずとも交渉や調停、仲裁を通して迅速かつ少ない費用で、友好的に解決することができます。紛争解決のこういった過程を以下で詳しく説明していきます。弁護士ならあなたに紛争解決のための最善策を教えてくれることでしょう。

交渉

2人以上の人が集まってそれぞれの要望を通そうとすると必ず、交渉が始まります。ほとんどの大人が毎日行っているであろう交渉には、大変柔軟性があります。当事者は、思う存分問題について交渉することができ、もし合意できなくても膨大な時間やお金をかけることなく、ただ交渉決裂にしてしまえるからです。
もし2人の間で交渉が上手くいけば、合意内容を正式な契約として残しておきたいでしょう。たとえば給料について話し合う雇用交渉では、労使はたいてい合意内容を書面にします。こうした同意書は、通常法的に有効です。すなわち、当事者の一方が契約の規定を遵守しなければ、他方の当事者は合意内容の順守を強制するか、金銭的賠償を受けるために相手方を訴えられるのです。このようなときに弁護士は、上手くいった交渉の後に合意内容を正式なものにする手伝いができます。


しかし、成立した交渉が全て契約書になるのではありません。たとえばお店やヤードセールで自転車を買うとき、価格の交渉をしてお金を払ったら、契約書への署名などせずに自転車に乗って帰るでしょう。同様に、オフィスビルのテナントが近くのコーヒーショップと10%の割引について交渉するのであれば、契約はおそらく不要なはずです。
交渉は、紛争解決のために自然に起こる最初のステップです。当事者が交渉の主導権を握っているため、多様な解決方法があります。交渉するときは、他人の利益を考慮しつつ、自分の利益に焦点を置けますし、さらに揉め事について話し合えば、巻き込まれた人たちの人間関係も上手く保つことができます。

調停

調停とは、中立的な立場の第3者による仲介をもって進める交渉の形ですが、判決が下るわけではありません。調停の過程で、当事者は中立である調停人の前で対面し、それぞれが紛争に対する自分の立場を主張します。その後、調停人はそれぞれの当事者と個別に相談し、合意出来るように話し合いを調整します。このとき調停人は、話し合いで各当事者の利害関係に焦点があたるように努めます。ただし最終的に合意するかどうかは、両当事者に決定権があります。


調停は訴訟よりも廉価で迅速であり、さらに伝統的な裁判と比べて和解の機会が多く提供されています。そしてこの際、両当事者のどちらにも有益となる解決方法が提供されます。

たとえば、お隣同士のルイスとスティーブが倒れた木について揉めているとしましょう。木は当初彼らの土地の境界線に立っていましたが、それが倒れてスティーヴの家に損害を与えました。スティーブはルイスを訴え、家の修理費用の半額、5,000ドルの賠償を求めます。スティーブとルイスが裁判所で争うことになれば、判決を下すのは裁判官です。この判決の内容次第で、スティーブが受け取る金額、5,000ドルかそれ以下の額、あるいは全くもらえないかが決まります。一方調停では、スティーブとルイスの両者が納得し、合意できる内容で解決方法を探ります。それによって一緒に修理する、費用を折半するといった形で同意できるかもしれません。両方とも納得できる結論に行きつけるならば、問題が終わったあとの両者の関係は、一方が勝ち他方が負ける裁判よりもずっと良好になるでしょう。


一般的な紛争(職場の問題、近所の問題、家族の養育問題、ビジネス上の問題など)の多くは調停できます。当事者の交渉の結果暗礁に乗り上げたときでも、時として調停を通して上手くこともあります。そのため弁護士は、訴訟を提起する前に調停を試みるよう提案するでしょう。時折契約書では、契約上の全ての紛争は、調停人の調整を受けなければならないと規定しています。また問題が裁判に発展する前に、両当事者が合意に達するかもしれないという希望をもって、裁判官が調停を命じることもあります。ただし調停は通常、自発的なプロセスです。調停を通して合意すべきかどうか判断するのはあなたであり、調停人が合意を強制することはできません。


調停での合意書は、裁判所に提出することもできますし、当事者間だけの秘密にしておくこともできます。調停における合意のほとんどは、すべての契約と同様に強制力をもっています。すなわち当事者は裁判所に対し、相手方が遵守しない場合における合意内容の強制を訴えられるのです。


なお当事者は通常調停人の費用を負担しますが、無料、又はスライド制の調停を提供しているコミュニティ・センターも多くあります。調停には第三者の関与が必要なため、単なる交渉より費用がかかりますが、仲裁や訴訟よりははるかに安く済みます。

仲裁

仲裁において紛争の当事者は、中立の第三者(仲裁人)による私的審理に同意します。当事者は前もって、仲裁審理と仲裁人の選択において適用される規則について同意できます。


仲裁審理では、仲裁人が当事者間の紛争詳細を聞き、提示される全ての証拠を考慮して判決を出します。拘束力のある仲裁において、仲裁人の判決は12ヵ月以内に裁判所に提出されます。裁判所がそれを追認すると、判決は裁判所の命令になります。もし誰かが判決を拒否すると、法廷侮辱罪が適用されて罰金が科されるか、収監されます。拘束力のある判決からの控訴は、非常に限られた状況(例えば仲裁人が明らかに偏見を持っていた場合など)でしか許されません。なお拘束力のない仲裁において仲裁人の意見は単なる助言にすぎず、当事者がその意見を尊重するか、訴訟を通して紛争解決するか、あるいは別の条件で解決するかは自由です。


通常、仲裁の両当事者には彼らの代理をする弁護士がいます。仲裁人はまさに裁判と同じくプロセスを調整して、裁判官とよく似た役割で結論を出します。仲裁人の最終的な判決は、審理における全ての当事者の証拠と証言に基づいて下されます。当事者が合意に達する義務がない調停とは違って、仲裁人は判決を出せるのです。公判と異なり、仲裁は非公開の私的な法廷で開かれ、当事者は結果を秘密にできます。この秘密性により、判決はその特定の紛争にのみ適用され、その後もし同一の事実関係で争われる案件があったとしても、先例としての効果は全くありません。仲裁にはこうした特長があるため、多くのビジネス関係者にとって魅力的な紛争解決手段となっています。
弁護士に相談すれば、仲裁に関する詳細な情報を入手し、あなたの紛争解決方法が適切かどうか教えてくれるでしょう。

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