結婚詐欺

演出好きのアメリカ人は、プロポーズに非常に気を使います。私が個人的に出くわしたものだけでも、バスケットボールの試合のハーフタイムに、20メートルぐらいの横断幕が観客席に広げられ、選手の一人がガールフレンドにプロポーズしたり、12月の「クリスマスキャロル」の舞台劇の幕間に、観客の一人が舞台に出てきてガールフレンドにプロポーズしたりしたことなどがあります。日本人であれば「何でわざわざ人前で?」と怪訝に思うかもしれませんが、その場に居合わしたアメリカ人は跪いてプロポーズをする場面に大喜びです。


さて、契約社会のアメリカでは、結婚にまつわる契約の法律の話もよく出てきますが、皆さんは経験がありますか?いえいえ、アメリカ人との結婚の経験ではなく、アメリカ人の結婚にまつわる契約の話しを聞いたことがあるかという意味です。例えば、あなたが「1億円のマンションを買って住むなら結婚する。」と言ったとしましょう。相手が、「いいよ。」と約束をして、あなたは有頂天で結婚してしまいました。結婚後、相手に催促したところ「そうだっけ?」の一言です。「よーし。それならでるところにでよう。」なんていきまいてしまいたくなりますが、さて、この約束は、本当に裁判所で有効とみなされるのでしょうか?

アメリカには、詐欺防止法という法律があって、ある特定の契約に関しては、口頭で約束が交わされていても、書面での契約の証拠がない限りは、強制力を持つ契約と認められません。
それらの契約とは、

  1. 遺産管財人の自らの負担による被相続人の負債の弁済
  2. 第3者の負債の弁済
  3. 結婚の約因としての約束
  4. 土地に関する権利
  5. 1年以内に履行を完了できない契約
  6. $500以上の商品売買


以上を対象とします。


それぞれについて、いろいろな規定や例外などがありますが、ここでは細かいことは忘れてください。ここで問題になっている結婚に関する約束についてですが、3に出てきているように、結婚の約因としての約束は、書面に残さないと裁判所に申し立て強制力を働かせる等の措置が取れないのです。約因の説明は、別の機会に譲るとして、要は「1億円のマンションを買って住む。」なら結婚するという、結婚の約束をするための利益を受取ることは、詐欺防止法の対象になり、書面が必要になってしまうのです。

※この記事は法律上の助言を構成するものではなく、一般的な法的原則の一般的な概要のみを示しています。 これらの原則は、管轄地によって異なる場合があります。 ご自身の特定の状況については、弁護士に相談する必要があります。 この記事の公開によって弁護士と依頼人の関係が形成されません。

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