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海外旅行では、その国特有の法律やルールを知っておくことが重要です。一見すると些細な違いでも、知らないまま行動すると、思わぬ誤解やトラブルにつながる場合があります。
筆者は米国在住者として日本を訪れた際、外国人旅行者は原則としてパスポートを携帯する必要があると知りました。米国では日常的にパスポートを持ち歩く習慣がないため、当初は紛失や盗難のリスクを考え、ホテルに保管する方が安全ではないかとも感じました。しかし、外国人旅行者の身元を確認する手段としてパスポートが重要であると理解し、滞在中は安全に携帯するようにしました。
このような「現地では当たり前でも、外国人には分かりにくいルール」は、米国を訪れる日本人にもあります。その一例が、米国で運転中に警察車両から停止を求められた場合の対応です。
米国は国土が広く、大都市以外では公共交通機関が十分でない地域も多いため、旅行や出張でレンタカーを利用する機会があります。その際、特に知っておきたいのが、後方の警察車両が赤色や青色のライトを点滅させた場合です。
日本では、パトカーが赤色灯を点灯させて走行していても、それだけで特定の車両に停止を求めているとは限りません。車両を停止させる際には、サイレンや拡声器による指示が加わる場合もあります。
一方、米国では、警察車両が特定の車両の後方で赤色や青色のライトを点滅させる行為自体が、その車両に停止を求める合図となるのが一般的です。必ずしもサイレンや音声による指示が伴うとは限りません。
この違いを知らない日本人旅行者は、警察車両が自分を追い越そうとしている、あるいは別の緊急事態に向かっていると考え、そのまま走行を続けてしまう可能性があります。しかし、警察官から見れば、すでに停止を求めているにもかかわらず運転を続けているように見えるため、意図しない誤解につながりかねません。
米国で運転中、後方の警察車両が自分の車に対して点滅灯を作動させたと判断した場合、一般的には速度を落とし、可能であれば方向指示器を出したうえで、安全を確認して道路の右側など適切な場所に停車します。
停車後の行動にも注意が必要です。米国では、交通取締りで停車した運転者は、通常、車内にとどまり、警察官が車両まで来るのを待ちます。自分から突然車外に出ると、警察官に警戒される可能性があるほか、交通量の多い道路では事故の危険もあります。警察官から車外に出るよう指示された場合には、その指示に従います。
また、警察官は通常、運転席側から車両に近づきますが、交通量の多い道路などでは、安全上の理由から助手席側から接近する場合もあります。いずれの場合も、運転者は落ち着いて車内で待ち、警察官の指示に従うのが基本です。
海外では、現地の人にとって当然の行動でも、外国人旅行者にはその意味が伝わらない場合があります。日本を訪れる外国人にとってのパスポート携帯と同様に、米国で警察車両の点滅灯が何を意味するのかを事前に知っておくだけでも、不要な混乱を避けられます。
旅行者の多くは、法律に違反する意図があるわけではありません。しかし、日常的なルールや慣習の違いを知らないために、予期しないトラブルが生じる場合があります。米国で車を運転する予定がある場合には、交通ルールだけでなく、警察から停止を求められた際の基本的な対応も理解しておくと安心です。

米国で警察車両の緊急灯が自車に向けられている場合、日本での運転経験だけを基準に判断せず、警察による停止の合図である可能性を前提として、安全を確保しながら対応する必要があります。具体的な灯火、サイレン、停止方法に関する法規は州によって異なるため、全米で完全に同一ではありません。
米国における交通停止(traffic stop)は、合衆国憲法修正第4条の適用を受ける「seizure」に当たります。連邦最高裁は Pennsylvania v. Mimms, 434 U.S. 106 (1977) において、車両が適法に停止された後、警察官が運転者に車外へ出るよう命じる行為について、警察官の安全確保という重要な利益と運転者の自由に対する追加的な制約を衡量し、修正第4条に反しないと判断しました。さらに Maryland v. Wilson, 519 U.S. 408 (1997) は、この原則を同乗者にも及ぼしています。
こうした最高裁判例からも、米国のtraffic stopでは警察官の安全確保が重要な法的利益として位置付けられていると分かります。旅行者としては、警察車両から停止を求められていると判断した場合、安全な場所に停止し、警察官の指示を確認してそれに従うのが適切です。具体的な義務や手続は州法や状況によって異なるため、この記事で紹介した対応は全米一律の法的ルールではなく、米国で運転する際の一般的な注意事項として理解する必要があります。
※本記事は法的助言を提供するものではなく、一般的な法制度・実務の概要を紹介するものです。具体的なルールや対応は州その他の管轄によって異なる場合があります。個別の状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。本記事の掲載によって弁護士と依頼者の関係が成立するものではありません。

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