軍務休職

雇用法・労働法

合衆国の兵士は、世界中の130近い国々に配置されています。そこで男女の兵士は、戦闘から平和維持のための外国軍隊とのトレーニングに至るまで、幅広い任務を果たしています。多くのアメリカ人は、兵役に就くために民間の仕事を休職しなければなりませんが、連邦法のおかげでこういった仕事は保護されています。

軍人雇用・再雇用権法(The Uniformed Services Employment and Reemployment Rights Act: USERRA)は、兵役を果たす全ての従業員のために重要な権利を規定しています。対象となる軍人は、陸軍、海軍、海兵隊、空軍、沿岸警備隊、並びに国家警備隊及び公衆衛生特命部隊の正規兵及び予備役を含みます。USERRAは、平時及び有事に召集兵か志願兵かを問わず適用されます。本法は規模に関わりなく、連邦政府、州・地方政府、民間の雇主を含み、実質的に全ての一般雇主に適用されます。

そして従業員又は応募者の過去、現在、未来の軍務を理由とする、全ての雇用差別を禁止しています。雇主は、兵役に就く全ての従業員に対して最大5年間、無給での休職を認めなければなりません。従業員は、兵役に就いたときと同じ権利、同じ条件で、元の職場に戻れることが保障されています。それらには、従業員が続けて勤務していれば獲得したはずの地位、賃金基準、年金確定額、年金給付上のクレジット等の年功序列に基づく権利と利益を含みます。兵役期間の従業員は休職中と見なされ、通常休職中に従業員が得る年功序列に関係のないすべての利益を受けます。例えばUSERRAは、従業員に兵役期間中継続して健康保険を受けられる権利を付与しています。ただしこの場合、従業員は健康保険料の支払いを求められる可能性があります。

そして兵役終了後に民間の仕事に復帰するためには、

  • 雇主に、兵役のために休職すると通知していた
  • 名誉ある除隊をした
  • 除隊時民間の雇主に速やかに連絡するか、再雇用申請書を提出した

以上の条件を満たす必要があります。

さらにUSERRAは、一部の従業員に解雇に関する特別保護を与えています。兵役期間が180日を超えていれば、正当な理由がある場合を除き、企業が再雇用された人を1年以内に解雇することはできません。30日以上181日未満の兵役に就いていた人については、正当な理由がある場合を除き、再雇用から180日以内の解雇が禁止されています。

労働省退役軍人雇用・訓練サービス局(VETS)は、USERRAに基づく訴えを調査する責任があります。また権利を守るために、自分で連邦裁判所へ訴えることも可能です。USERRAの下での権利が疎かにされたと思うならば、どんな対応をとる必要があるか弁護士に相談しましょう。

※この記事は法律上の助言を構成するものではなく、一般的な法的原則の一般的な概要のみを示しています。 これらの原則は、管轄地によって異なる場合があります。 ご自身の特定の状況については、弁護士に相談する必要があります。 この記事の公開によって弁護士と依頼人の関係が形成されません。

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