遺言執行者の選定

遺言・信託

相続の計画には様々な判断が伴います。資産の分配について判断する必要があるのは明らかです。あなた後継人として資産を管理してくれる人または組織、すなわち遺言執行者の選択も重要です。

法律上、以下の責任を果たすために、遺言の執行者の選任が義務付けられています。

  • 相続対象資産の回収
  • 遺産の保護
  • 遺産リストの作成
  • 遺産に関する税金を含む必要な支払
  • 遺産に関する第三者に対する請求代理
  • 受益者に対する遺産分配

最後の2つの責任には、資産の清算が伴うかもしれません。つまり、税金、債権者、又は受益者への支払いのために株券、債権、その他の資産等を売却することです。

大部分の州では、18歳以上で重罪の前科がない人であれば、誰でも遺言の執行者として選任できます。どういった人が最適かについては、遺産相続のプロである弁護士の間でさえ、確かな答えはありません。それは、全て個々の状況次第だからです。あなたの残した仕事を忠実に遂行してくれる可能性が高いという面でいえば、遺言状において主な受益者となっている人を選ぶことは合理的です。また配偶者や成人した子供を執行者に選ぶ人もたくさんいます。しかし配偶者を選ぶと、悲嘆、病気、又は障害のために経済的能力を失っていたり、未成年の子供に関して独占的な親権を持っていれば、問題にもなりえます。時に執行者には、他の親戚や友人に貸した金品や資産の回収といった、家族からしてみれば気の進まない仕事をする必要性も出てくるからです。そういった役割が自分の配偶者や成人した子供には重荷だと感じるならば、たとえ費用がかかったとしてもプロの執行者を選任する必要があります。

執行者として最も求められる資質は、支払請求、特に最期の病気でお世話になった病院、メディケア、救急車、医者などからの請求に対処する忍耐です。ほとんどの場合、保険会社はこれらの処理のためにたくさんの文書提出、事前の支払い、事後の払い戻し請求を求めます。こうした事務的な手続きや書類を上手く処理できる性格で、時間に余裕がある人を選任すべきです。なお執行者は、なぜ自分たちの遺産の受け取りにそれほど時間がかかるのか、なぜ自分たちの取り分が思ったよりも少ないのかといった疑問を持つ親戚たちにも、上手に対応しなければなりません。

遺言執行者となるにあたり、基本的に法律の専門知識は求められません。問題は全て財政的なものです。一般的に、執行者は遺言の検認を弁護士と協力して進めます。遺書で出廷、登記、その他の法律に関する専門知識を必要とする件に関して、執行者は弁護士を利用するように指示が可能で、執行者が情報を提供すれば、弁護士が出廷や登記に対応することが出来ます。なお弁護士への相続関係の報酬は、法律によって規定されている場合もあります。(*時間あたりの額を設定している州もありますし、遺産の何パーセントかといった割合で報酬を規定している州もあります。)

自分でビジネスを経営していたり、個人事業を営んでいれば、その分野に精通した執行者や共同執行者を選定するのも一つの手です。あなたが従事するビジネスに適用される会計、税法の専門知識に関しては、配偶者や他の親戚が取り組むより専門家に任せた方が簡単なこともあります。

資産が大きいときには、弁護士や銀行を執行者として利用する方がよい場合も多くあります。一時的に事業の管理が必要となる複雑な遺産に関しては、必要に応じて弁護士、税務専門家、会計士、投資アドバイザー、経営者からのアドバイスを受けられる組織的な受託者(例:銀行など)を執行者にしておけば、公平でかつ制約がありません。もし相続に対する異論が予想されたり、相続に多くの法律業務が必要になるとわかっていれば、弁護士を雇っても良いでしょう。

遺言を作成する際には、誰を執行者にするかよく検討し執行者候補と相談して、快く引き受けてくれるかどうか確かめる必要があります。相続に何が必要になるのか迷ったら、ぜひ弁護士にご相談ください。

※この記事は法律上の助言を構成するものではなく、一般的な法的原則の一般的な概要のみを示しています。 これらの原則は、管轄地によって異なる場合があります。 ご自身の特定の状況については、弁護士に相談する必要があります。 この記事の公開によって弁護士と依頼人の関係が形成されません。

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