日本アニメの国際的市場性

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今年もアカデミー賞の季節がやってきて、各賞の発表が行われました。皆さんの予想は見事当たっていましたか。作品賞は「Nomadland(ノマドランド)」、監督賞はクロエ・ジャオ、長編アニメ賞には、ディズニー/ピクサーの「ソウルフル・ワールド」が選出されました。CGを使った映画の質が向上してからは、質のよい映像、楽しめるストーリー、本格的なマーケティング等の成功要因を兼ね備えたアニメーション映画が、安定的に一定の興行収入を上げており、アカデミー賞の一部門としての注目度もあがってきています。

もう何年も前になりますが、ある教育的テレビ番組の中で、30秒程のストーリー映像を見たのが、私の本格的なCG映像との最初の出会いだったように記憶しています。斜めの線にギザギザの目立つ稚拙な映像というそれまでの印象を、ほんの数秒ですっかり塗り替えてくれたリアルでコミカルな作品に、これはなかなかすばらしいものだと感心しました。それからコンピュータを駆使した映像作成技術の映画への導入は加速度的に進み、今ではCGなしの映画は考えられないほどになってきています。映画ビジネスにおいても、このCGのインパクトは強力であり、契約条件として交渉の重要な要素になったりします。


日本生まれのアニメとアメリカ生まれのアニメはこれから競合していくのでしょうか。答えは、イエスでありノーでありどちらともいえるでしょう。このタイトルだけで一冊の本ができそうなほどですが、本日は、マーケティングの見地から考えて見ましょう。


日本アニメとアメリカアニメの大きな違いの一つは、支持者層の幅ではないでしょうか。日本アニメは、週刊のアニメ誌に象徴されるように、多くの読者から長年にわたり支持されています。劇場にかかるアニメもこういった漫画週刊誌に原点を持つものが少なくありません。日本の通勤電車では、毎日多くの大人たちが漫画週刊誌を読んでいます。若い人たちだけのアニメというのではなく、幅広い年齢の人たちを読者に持つ強大な産業といえます。


一方、アメリカアニメの作品数は日本に比べて多くはありませんが、一般の人の目に触れる作品のほとんどは、一点豪華主義ともいえるほど豊富な資金を使ったもので、劇場での大ヒットを目指しています。アメリカの劇場で公開されるアニメのほとんどは子供たちを対象としており、その点は日本と同様ですが、アメリカの子供たちが映画館以外でDVDを購入し、家庭でアニメを見ることはあっても、アニメ週刊誌を買って読むなどということは、一般的にはほとんどありえません。もちろん、普通の大人たちが日常的にアニメに触れる機会など、皆無といってよいでしょう。


ところが、日常的なレベルでのアニメの需要はアメリカにも存在しています。毎日の夕方や週末の午前中には、様々な日本生まれのアニメのテレビ番組が放送されており、多くの子供たちが楽しみにしています。さらに一部の大人たちも日本アニメの雑誌を購入しています。一点豪華主義のアメリカのアニメは、日常的なテレビ作品やアメリカ版アニメ誌用作品としてはなじみにくく、日本生まれの作品がこういった需要を満たすことが多いのです。(もちろん、日本生まれのアニメは、劇場でも活躍しています。)


幅広い日本生まれのアニメは、その圧倒的な作品数を背景に自然と国際的なマーケットの生存競争を勝ち残り、様々な場所で活躍しています。こういう意味で、日本のアニメ作品の国際マーケットにおける主要なプレーヤーとしての地位は、まだまだゆるぎないものと言えるのではないでしょうか。

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